障害厚生年金3級受給者が亡くなった時 ~その後の遺族厚生年金(短期要件/長期要件)
こんにちは♪京都の女性社労士、年金相談オフィスKAJUの木村です。
以前も「死亡後の障害年金請求から遺族年金受給へ」というタイトルでこちらに記載しましたが、最近その内容を再確認するようなことがありました。
遺族厚生年金の受給要件
まず死亡した方に求められる要件として、下記①~⑤があります。
①厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
②厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡したとき
(①②は納付要件を満たす必要あり)
③1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
④老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき
⑤老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
(④⑤は納付、免除、合算期間等併せて25年以上必要)
①〜③は「短期要件」となり、(実際には短期間の加入でも)厚生年金に25年加入したものとみなして(300月みなし)、対象の配偶者には中高齢寡婦加算(612,000円/R6年額)が付いたり、ある程度の金額が期待できます。
障害厚生年金3級受給権者であっても、その傷病と相当因果関係のある傷病で亡くなった場合は、(改定請求が無くとも)死亡時点で1級または2級の障害の程度にあったと認定されれば、③に該当するものとして、短期要件の遺族厚生年金が受給できます。
それに対して④⑤は「長期要件」といって、厚生年金+国民年金の納付や免除、カラ期間等併せて25年以上加入期間があれば、実際の厚生年金記録に基づいて計算され、その場合厚生年金がたとえ1カ月でも、(非常に少額ですが)遺族厚生年金になります。
ですから同じ遺族厚生年金でも、短期要件か長期要件かで非常に大問題ですが、遺族厚生年金の添付書類として確認する死亡診断書では死因は一言。その文言が直接的に障害年金の傷病と結びつかなければ、(相当因果関係があると伝えて証明しない限りは)気づかれずに無関係となる可能性があります。
前置きが長くなりましたが、最近お話を伺った方が、この10年間長期要件の遺族厚生年金を受給しておられ、上記③に該当の可能性があるかもしれないところから、再度この話題に触れました。実際のところ年数経過もあり、死因など事実関係の確認も訂正も再申請についても、一筋縄ではいきません。
一般の方が考え及ばないような不利益
障害厚生年金3級受給者が遺族厚生年金を請求する際には、制度をご存じないと大変なデメリットを被る可能性があると改めて思いました。いつも実感することですが、本当に年金に関してはこのようなことがあり得ます。
お客様とはLINEでやり取りすることが多くあり、障害年金認定後もたまにご連絡下さる方もおられます。せっかくのご縁ですから、何か起きた時には確認して頂いて、お力になれればと願っております。
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