3号記録漏れ ~3人の女性~ | 年金相談オフィスKAJU|京都市南区の社会保険労務士事務所

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3号記録漏れ ~3人の女性~

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一人目 ~50代の女性~

年金の見込み額が低く、記録の確認手続きをした50代の女性ですが、なんと100月以上年金の扶養である3号記録が漏れていました。漏れ、または手続きが出来ていなかったという方が正確かもしれません。
というのも、現在のように事業主経由で年金の扶養である3号手続きが行われるようになったのは平成14年4月以降のことで、それ以前は3号被保険者自身に届出義務がありました。そのようなご本人任せではあまりに届出漏れが多かったために、現在のように夫の勤務先からの届け出に改められたのです。
その女性は既に離婚していますが、8年余りに渡る問題の期間は会社員である夫の扶養でした。
社会保険においてセットである年金と健康保険ですが、その方の場合健康保険は会社の健康保険組合に夫の扶養として加入していたとのこと、早速当時夫が務めていた健保組合に連絡。幸い当時の扶養記録が残っておりましたので、所定の書式に証明を頂き、無事記録が訂正されました。
仮に100月国民年金記録が復活すると、その100月だけで老齢基礎年金は、
795,000(R5基礎年金満額)×100/480(増えた月数/20~60歳までの加入月数)≒165,600
(年額)  増額されます。
65歳からその後20年間受け取ると、165,600×20年=3,312,000 
増額分だけで、これだけの金額になります。

二人目 ~62歳の女性~

知人女性が62歳で特別支給の老齢厚生年金の手続きに行くとのこと。つい最近一人目の女性の例がありましたので、親切心で年金記録に誤りがないか、特に3号の記録をよく見るようにと伝えました。

彼女はこれまで自分の勤務先で社保に加入しており、昨年定年。勤務形態が変わり給与額が下がったので、社会保険は自分の勤務先で加入しても、給与収入が201.6万まで夫の税扶養として、配偶者特別控除の余地があることを伝えたところ。(収入には〇万の壁が多数あり、これも誤解が多いところです)

話しを年金に戻しますと、後日年金の請求手続きについてどうだったか尋ねたところ、年金の扶養である3号制度が始まった昭和61年4月には、彼女は子育て中の専業主婦で会社員の夫の扶養に入っていたはずが、記録上はそのようになっておらず「あなたの場合は平成9年からですね」と説明を受けたとのこと。(平成9年は基礎年金番号制度開始の年です)
心配していた問題が現実のものになったのに、当の本人からは危機意識が全く感じられず。2歳違いの年下の夫を対象に加給年金(年金の家族手当)が貰えることに喜んでいました。加給年金は65歳から年額397,500円 年下の夫が65歳で年金を受け取るまでの2年間で終了です。397,500×2年間・・

一方の3号記録は仮に昭和61年4月~平成9年3月まで漏れていたとすると、132月(11年)です。その額たるや一人目の女性とは逆方向、つまり損害額が大きいということになります。年金事務所では当時の源泉徴収票を持参すれば良いと言われたそうですが、税法上の書類は7年が保管年限でしょうから、実際昭和から平成にかけての扶養の証明はまず難しいでしょう。後は健康保険の記録ですが、これも同じくまず難しい。このように同じ年金記録を見ても、一般の方は問題の有無、その意味、損をする金額・・何も気が付かずに通り過ぎていくのだな・・と再確認した出来事でした。

三人目 ~60代女性~

以前私が銀行の年金相談会で老齢年金の請求手続きのご相談を受けた際に、ご本人に加入記録に誤りはないか確認をしました。たしか平成14年以前、何年間も記録の空きがあったので、不思議に思いその期間について尋ねたところ、当時夫は会社員、奥様は専業主婦だったとのこと。今現在もずっと同じ状況なのにと仰られ、保険証を見せて頂いたところ、夫の会社の健康保険組合発行のもので、幸い夫が勤務し始めた日付が扶養の資格取得日として記載されていました。これは本当にラッキーなケースでしたので、年金事務所でその保険証を見せて手続きをするようにとご案内しました。1人目2人目のケースが立て続けにありましたので、続きで思い出しました。

私が年金事務所で勤務していた頃には、記録の漏れや誤りは日常茶飯事。制度の変遷とともに人が行うことですから、どうしても起こりえることです。そして何かしらのアクション(記録確認/老齢年金請求/遺族年金請求等)が無い限り、問題が見つかるチャンスはありません。
年金記録の誤りは、すぐ身近にありながら、ご本人は気が付かないのです。
今回は昭和61年から平成半ばまでに専業主婦だった世代の方の3号記録の漏れが続いたお話でした。
(3号被保険者は妻である女性のような記載ですが、男性の場合もあります)
(今回のお話とは逆に3号でないにもかかわらず、3号に入りっぱなしで後々記録修正を受ける3号不整合問題もあります)

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