遺族厚生年金の見直し | 年金相談オフィスKAJU|京都市南区の社会保険労務士事務所

TEL: 075-662-2727

トピックス

トピックス

遺族厚生年金の見直し

noimage

2025年6月13日に年金制度改正法が成立しました。

こんにちは♪京都の女性社労士、年金相談オフィスKAJUの木村です。

先日年金制度改正が成立、遺族厚生年金については、20284月施行予定です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00020.html

遺族厚生年金の男女差の解消ということで、男性は284月から実施、女性は今後20年かけて段階的に実施するとのこと。本日は、主な改正点をお伝えします。

これまでの制度

まず現行制度では、夫死亡時に30歳未満の女性は、5年間の有期年金で、それ以外の方は無期給付となっていました。
それに対して男性は、妻死亡時に55歳未満ではそもそも受給権を得られず、55歳以上であれば権利を得られるものの、60歳までは支給停止、60歳以降は無期給付です。
但し、65歳からのご本人の老齢厚生年金額が遺族厚生年金を上回ると、実際には支給はありません。
女性はご自身の老齢厚生年金と比較しても、夫の年金記録で計算した遺族厚生年金額額が上回ることが多く、その差額分を遺族厚生年金として、ご自身の老齢年金と併せて受け取ることが一般的でした。

改正の内容~男女差の解消~

①男女ともに原則5年の有期給付(5年有期給付)
②有期給付の場合の加算(有期給付加算)
③低所得など配慮が必要な方は最長65歳まで所得に応じた給付の継続(継続給付)
④配偶者の加入記録による自身の年金の増額(死亡分割)
⑤女性のみの加算の廃止(中高齢寡婦加算を25年かけて段階的に縮小、廃止)

①~⑤について、以下順に補足説明します。
①5年有期給付
【新たな対象者】
・女性は2028年度末時点で40歳未満の方
・男性は60歳未満の方
※男女とも子供(18歳年度末までの子、または1~2級の障害状態にある20歳未満の子)がいない方
【見直しの影響がない方】
〇改正前から遺族厚生年金を受けていた方
〇2028年度末時点で、40歳以上になる女性
〇60歳以上で死別された方(男女とも、現行の無期給付)
〇子供(18歳年度末までの子、または1~2級の障害状態にある20歳未満の子)を養育する間にある方

②有期給付加算
新たな加算である「有期給付加算」とは、現在の遺族厚生年金の約1.3倍の額になると。
遺族厚生年金の基本額は、死亡者の老齢厚生年金(報酬比例部分)の 3/4です。
新たな加算を付けることで、1/4程度増額されて、死亡者の報酬比例部分の満額程度が支給されるよう。
例:死亡者の報酬比例部分が12万円
  遺族厚生年金(基本額) 12万円×3/4=9万円
  9万円×1.3=11.7万≒12万円(有期給付加算込みで満額)

③継続給付
5年間が経過しても下記の場合は、引き続き継続給付(全額)が受け取れるようです。(最長65歳まで)
〇障害状態にある方(障害年金受給権者)
〇収入が十分でない方
・単身の場合、就労収入が月額約10万円(年間約122万)
 ※2025年度税制改正を反映した地方税所得に基づくと132万円見込み。
  地方税法上の「寡婦」に該当する場合、204万程度。
 ※収入増加につれて、年金額を調整するしくみ。
  年金額によるが、概ね月額20~30万超えると、全額支給停止。

④死亡分割
亡くなった配偶者の方が報酬が高かった場合に、亡くなった方の年金記録を分割し、遺族年金受給者の年金記録に上乗せする。

⑤中高齢寡婦加算の廃止
40~65歳未満の女性への支給は、今後男女平等の観点から順次縮小、廃止。

改めて子供がいる場合は、その子が18歳年度末まではこれまでの制度通り、変更はありません。子供が18歳になった後は該当の年代であれば、改正後の有期給付、継続給付の対象になるようです。
上記に上げませんでしたが、年収850万の収入要件もなくなりました。ただ多くの女性は特に、そこまでの収入があるかどうか。ちなみに遺族基礎年金は、子の加算額が年額23.9万ですが28万円台に増額されます。また子供が養子に入る、親が再婚する等の場合、子供への年金は停止されることがありましたが、新たに支給することとなりました。

所感

まだまだ概要で、実務的なところはこれから詰めていくのでしょう。新たに対象となる男性は成人後~50代まで幅広いものの、遺族年金の制度も見直しについても、ご存じなければ申請することなく、もし当初から原則通り5年の時効適用とすると、受け取れずじまいということが懸念されます。
また今回の改正には、遺族年金を当てにせず、5年で生活を再建して、女性にも社会保険に加入してしっかり働いてほしい、再婚もしてほしい、子供も儲けてほしい・・というところまで、透けてみえました。
遺族のほか、老齢や障害年金の子の加算も増額されるのはよいとして、さらに子の加算がなかったものにも新設が予定され、一方で配偶者加給年金は減額方向です。
老齢の年金受給世代で、18歳未満の子の加算がつく方がどれだけおられるかと思うのですが、少子高齢化の時代、中高年以降も子を儲けてほしいということか・・。子供のいる社会はよいことですが、若い世代が結婚し、子育てしやすい世の中になればよいと願います。


~遺族年金、障害年金、老齢年金についてご相談を承っております~

年金相談オフィスKAJUは、京都の 公的年金専門 女性✿社会保険労務士事務所です

PAGETOP
ページトップヘ